栃木県那須塩原市東赤田の保険代理業生駒文子さん(63)が6月から行方不明になっていた事件で、県警捜査1課と那須塩原署は25日、生駒さんと取引があった先物取引会社「日本交易」(本社・東京)宇都宮支店営業課長の小西繁貴容疑者(36)(栃木県小山市雨ヶ谷新田)を死体遺棄の疑いで逮捕した。(2007年8月25日読売新聞)
報道によりますと、小西容疑者の供述に基づき那須塩原市内の山林を捜索したところ白骨化した頭の骨など遺体の一部が見つかり、県警は歯型などから遺体を生駒さんと断定、同容疑者を殺人容疑でも追及するとのこと。生駒さんは生命保険会社の退職金などを元手に先物取引を始め、取引額は一時、最大で約7000万円に上っていた。小西容疑者は生駒さんから預かった資金を流用した疑いが持たれており、県警は、生駒さんとの取引を巡るトラブルが動機とみている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070825i201.htm
今回は殺人事件ということで大きくマスコミに取り上げられましたが、じつのところ、先物取引によるトラブル・被害は後を絶たない状況です。
不当違法な勧誘により取引に参加させられ、大切な預貯金等を委託させられることに始まり、取引中も追加資金の強要や保証金の追加(追証)などによりさらなるお金をつぎ込まされる、取引をやめたくてもやめられない(仕切拒否)などが代表的な被害例です。
他にも、資金用立てのため保険等の解約、サラ金からの借入強要、夫婦や友人関係の破綻、ノイローゼ等による精神的あるいは身体的被害などの被害もあげられます。
また、損失を取り戻すための横領行為に及び人生を棒に振るといった事例も多数あります。ただ、それらの事件では、マスコミもどちらかといえば横領を行った本人の違法行為を大きく取り上げますが、もちろん、本人の責任も大ですが、そもそも先物取引になんの関心もなかった者を不当に勧誘し先物取引に引き込みながら多額の手数料をまんまと手に入れた先物業者についての責任についてはほとんど追及されていないのではないでしょうか。(先物取引関連不祥事件については「実践・先物取引被害の救済」民事法研究会 発行 を参照。)
過去の先物取引関連の殺人事件では「クローバリー事件」(このクローバリーは世界陸上女子マラソン 銀メダリスト野口みずきが所属していた会社でもあります)というのが有名です。
これは、先物取引で損失を出した委託者が、先物取引会社営業員を殺害し現金などを奪ったということで強盗殺人の罪に問われ、懲役15年の判決を受けたものですが、その判決の中で、大分地裁久我泰博裁判長は『独善的思考で自己の経済的利益を優先させた犯行。しかし、同社の商法は組織的な違法行為だった可能性が極めて高く、情状酌量の余地がある』と言っています。
さらに、この被告人は強盗殺人罪で服役中に自分を勧誘した同社とその社員らに損害賠償を求め、名古屋地裁黒岩已敏裁判長は「被告会社の一連の不法行為で原告が精神的に追い込まれ、強盗殺人の発端となったことは否定できない」として、同社に673万円の賠償を命じています。
先物取引にかかわらず悪質商法にひっかかった場合、ひとりで悩んだりせずに、すぐに家族や信頼のおける知人友人、消費者センター等に相談をすることが重要です。一人ではどうしようもないように思えても、誰かに相談することで道も開けるというものです。